ITEC推奨書籍

ITECが推奨する書籍を紹介してゆきます。
公式な推奨書の全体に関してはこれを見てください。

◎解剖生理学

Louise Tucker
An Introductory Guide to Anatomy and Physiology 新
An Introductory Guide to Anatomy and Physiology (Revised Edition) 旧 (←書評はこちらにあります)
 私は読んだことが無くAmazon.UKの書評によると必ずしも良くないですが、どうもITECの解剖整理の試験には欠かせない本のようですね。

入手しました。うーん、これは持っていないと絶対に絶対に損ですね。もちろん普通の意味での解剖生理の本としては非常に不十分ですが、ITECのコースとして解剖生理を勉強するのであれば次のArnould-Taylorの本なんかよりも何倍もまともです。っていうかこれが現在のITECの解剖生理のほぼ公式の教科書です。これがあればArnould-Taylorは全く不要です。必要最小限がうまくまとまっています。図もカラーで見易い物が多いです。っていうか、これ持っていないとITEC生徒としては後悔する部分が大ですね。日本語訳が無いことがつくづく悔やまれます。私ももっと早く入手できていたらなぁ〜と残念です。ただ解剖生理は英語だとラテン語が多く、ボキャで苦労します。日本語で勉強できることの利点はありますね。でも薄い本(120p)で文字密度も低いですから、大学レベルの英語が出来れば半年あれば容易に読破出来ます。

W.E. Arnould-Taylor
Principles and Practice of Physical Therapy 
某学校ではこの本の解剖生理の部分を取り出して、いちおう標準に準じるものとしていますね。私は個人的に元の本を注文して眺めてみましたが内容的には非常に古くて、図にも誤りが散見しており、記述も表面的な点が多く他にもっと良い教科書がいくらでもあります。Amazon.UKの書評も良くないです。しかしITECの試験にはこれに準じた内容が出ていると考えてよく、特に病気の部分はこの本の範囲を覚えておくと良いと思われます。

他の解剖生理の本はまだ調査しておりません。

◎アロマテラピー

Louise Tucker
An Introductory Guide to Aromatherapy
  
 入手しました。この"An Introductory Guide to ..."という本はどれも事実上基本的にITECの標準的なテキストになっているようです。Luise Tuckerという人はアロマの人というよりもここでは単にライターとして書く作業をしていて、内容はITECのディレクターのJane FoulstonやAOC(ITECの上の団体)委員長のMike Dowling、そしてITECの主実行委員のMarguerite Wynneが「エディタ」として名を連ねています。従ってこの本の内容はITEC公認です。

正直なところアロマテラピーの本としては本質的な部分で多くの問題があります。事実とガイドラインを完全にごちゃ混ぜにして書いてあるので、その区別を知らない人にとっては危険な本とも言えるでしょう。要するに文部省の検定教科書みたいなもので、ITECの試験とくに選択式の試験に受かるためにはこれを丸呑みすればよいわけですが、セラピストとなって現実の世の中に出た場合はこの本では通用しません。英語ですが非常に辛らつな批判を書かれている方がいます(この方のこのページがこの本の非常に良い正誤表になっています(笑))。この本はアロマテラピーを日常として実践したことのない人が、Julia Lawlessの精油辞典(その内容をチェックしないで)とPatricia Davisのアロマテラピー辞典をまとめて、それにITECのガイドラインを織り込んだものにすぎません。成分的な内容はJulia Lawlessからの丸写し、効果や適用はPatricia Davisから取って来てあります。ですので、あくまでITEC試験用と割り切って以下の評価を読んでください。

本の内容の前半は通常のアロマ本とさして変わりはありません。歴史とかブレンド方とかあります。他の一般書よりも精油が人体のどの部分にどのように作用するかといった生理学的説明が載っています。この精油と生理的効果の記述はこの本の最も重要な部分でしょう。その後で各精油の説明がありますが、この各精油の説明の中で主要成分、効果、禁忌などはその精油に対するITECの公式見解と考えてよいでしょう。その後の部分では、アロマの家庭での適用法、クライアントに対するカウンセリング等があります。マッサージの手技自体はもうほんの少ししか載っていません。最後の部分ではホリスティックアプローチについて書いてあり、他のアロマ本と違うのは他の代替療法に関しての記述があるこでしょうか。この本で最も重要な部分の一つは最後の部分にケーススタディの例が8例も載っていることです。各例に対して4回のトリートメント記録があり、どのようなクライアントにどのようなブレンドを使ってどのよな観点でクライアントを観るかに関してITECの考え方、ITECのアロマの適用の仕方がわかり非常に貴重な部分だと思いました。

ITECのアロマテラピーディプロマのほぼ公式なテキストです。日本のアマゾンからの注文をご希望の方はここをクリックしてください。これには意外にも日本の方の書評が載っています。ITECの生徒さんかどうかは不明ですが、かなり良い書評が載っており、皆さん英語が苦手でも辞書を引き引きがんばっておられるようです。ITECの生徒さんはこれを機会にトライなさってみてはいかがでしょうか。

Louise Tucker (↓推奨リスト外)
An Introductory Guide to Massage  
 
このAn Introductory Guide to Massage は実はITECの推奨リストには載っていないのですが、書評によるとイギリスのITEC認定校で推奨されているようです。書評もまあまあです。で、入手いたしました。この本も”An Introductory Guide to Aromatherapy”と同様でLuise Tuckerは単なるライターで、エディターとしてITECの高位の人たちが含まれています。本の裏表紙には「この本はITECマッサージのカリキュラムの要求に合致したものである」となっていますから、やはりITECのマッサージの事実上の教科書と考えてよいでしょう。

内容はごくまとめ的な解剖生理学があり、マッサージで使う媒体などの説明があります。そしてエフルラージュやペトリサージュなどの手技の説明があります。フリクションやバイブレーションに対する手技の説明もあります。他のアロマ本と違うのは、ここの手技の説明はあるのですがセッションとしてのトリートメントの内容が全く載っておらず、この本を読んだだけではトリートメントが出来るようにはなりません。これはこの本があくまでITECコースの授業の“教材”であって、トリートメントの実技は授業でやるというスタンスなのでしょう。上記のAromatherapy同様、カウンセリングに関して一章設けられています。後半ではアロママッサージ、リンパドレナージュやスポーツマッサージ、ヘッドマッサージに関しての章もあり、最後にまた代替療法の章があります。非常に残念ながらこの本にはケースステディの実例は載っていません。また衛生に関しても載っていません。

代替療法に関してはITEC独自の言い回しがあると思います。例えばバッチレメディーの場合ですが「infusions of plants with water and alcohol (植物を水とアルコールでInfusionしたもの)」とあります(Infusionの辞書訳は「煎じる、煎じ出す」となっていますが、バッチに関する翻訳された本で「煎じる」という表現を使っているものは見た事がありません)このITECのバッチレメディーに関する文章は厳密には間違いです(イギリス人なのに正確に書けないのはなさけないです、下のPatricia Davisの本には正しいバッチレメディの記述があります)。バッチレメディは植物を水だけを使ってまず浸出させます。20のレメディに対しては日光下の常温で浸出させ、18のレメディに対しては煮出します。アルコールはその後に保存料として添加されるだけで浸出の媒質として使われているわけではありません。このようなITEC独自の言い回しは、こういった本を読まない限り知りえません。

総じてマッサージの手技を取得するだけであれば特にこの本は必要ではないが、個々の手技に対するITECの定義や代替療法に関するITECの独自の定義を知るためには必須の本でしょう。

Patricia Davis
Aromatherapy: an A-Z  
アロマテラピー事典
これは有名な本ですね。書評も非常に高得点です。邦訳も出ています。入手しましてパラパラと見ています。著者の色々な考えに触れられて面白いですね。また続きを書きますが、こういうのが本当の「本」というものです。他人のやったことや他からの孫引きでなくて、自分の体験に基づいて自分の考えと感覚で書いたもの、です。

Julia Lawless
Encyclopedia of Essential Oils:

書評は高得点ですね。時間のあるときに調べてみようと思います。邦訳はどうも無いようですが・・・。

Julia Lawless
The Illustrated Encyclopedia of Essential Oils
エッセンシャルオイル図鑑
(邦訳は書店経路では販売されておらずアロマショップをお探しください)
これはオイルの種類が非常に多く、フランス式アロマ顔負けの範囲をカバーしています。通常は販売されていないようなオイルも載っており好学のためにはよろしいかと思います。ただ内容的にはこれを読んでも精油を使えるようには全然なりませんし、ましてブレンドできるようにはなりません。知識の平面的な羅列が強すぎで実用性のあまり無い本です。ただ辞典として一冊持っていても損は無いと思います。実用的には同じ著者の”The Complete Illustrated Guide to Aromathrapy”という本のほうがはるかに使えます。

Shirley Price
Aromatherapy Workbook

これについては内容は読んだことが無いのでわかりません。邦訳は相当するものがあるのか分りませんでした。Shirley Priceは実に様々な本を書いていて、Aromatherapy for ○○○ という本が沢山あります。その中で”Aromatherapy for Health Professionals”(邦訳 プロフェッショナルのためのアロマテラピー)は非常に良い本で具体的な症例が出てくるので生々しく生き生きしています。

Robert Tisserand, Tony Balacs
Essential Oils Safety

精油の安全性ガイド
邦訳も出ている有名な本です。これだけの事をまとめ上げるのは頭が下がるおもいです。ただイギリス式のアロマテラピーを行う範囲では全く必要の無い本だともいえます。フランス式の高濃度の適用をなさる場合は、一応目を通しておいた方がよろしいですし、特定のクライアントさんに長い期間使ったりする場合は安全性を確認するために、この本で確かめておくとよろしいかと思います。

Rosemary Caddy
Aromatherapy: Essential Oils in Colour  
カラーグラフでわかる エッセンシャルオイルの特性と使い方
著者独自の考え方で効果という観点から精油を分類しているそうです。邦訳も出ているのでそれなりに良い本かもしれません。Amazon.UKの書評は良い悪いに分かれています。訳本を買って内容を見てみようと思います。