和傘の美しさ

あなたはいつも洋傘を使っていますね。洋傘は比較的軽くてコンパクトで便利ですが、生活を楽しむという点では和傘が優れています。和傘が使われなくなってしまったのはまさに今の日本の自国文化に対する無理解を象徴していると思います。

最近特に思うことは伝統工芸とか日本の古い技術のことで、そのことはまたちゃんと書こうと思っているのですが、今日は和傘について。番傘とも言うみたいですが、この番というのはお番茶みたいにいい加減で気軽なという意味があるようで、ここでは和傘をつかわさせてもらいます。

近代的な時代になって便利さと入れ替わりに、失われてしまった美しさという物が非常にたくさんあります。和傘がその一つです。以前佐渡へ行ったのですが、佐渡は竹の工芸が有名でその店で目に入った和傘を買ってきました。買ったときはただちょっとおもしろいかなと言うだけですが、これは使ってみると実に奥が深いです。

洋傘をじっくりと観察されたことはありますか?まあ、比較的軽くて外から見ると非常にバラエティーに富んだ絵柄がありますね。では、さす人自身から見た傘の内側を良く見てください。洋傘は要するに醜いアルミの骨が見えるだけなのですね。実は、この洋傘の内側の醜さは和傘を使うまで気が付かなかったのです。和傘の内側は細かく細工された竹が放射状に形成する独自の幾何構造で、とても美しいです。和傘の醜い内側とは雲泥の差があります。和傘は重さも思ったほど重くはありません。竹と紙ですから。わたしは和傘をさしたときに「あー、今まで何て愚かなことをしていたのだろう。」とつくづく思いました。

そして楽しめるのは見た目だけではありません。音なんです!洋傘は雨が降ってきて、雨粒が傘にぶつかる時に「ボソ、ボソ」という鈍い音しかしません。ところが和傘を使ってみてビックリ、とても軽やかな「ポン、ポン」と紙を叩くような音がして、それが傘の下にいる差している人にとって心地よい響きとして伝わってくるのですね。とても自然と大地を感じさせる優しい音です。

見た目の美しさと雨の響く音で、正直言ってとても癒されます。特にうっとうしい梅雨にはうってつけで、梅雨の暗い天気の中で、こんな簡単な事で風情があって癒される事はありません。

これから始まるうっとうしい梅雨ですが、昔日本人が当たり前のようにさしていた和傘をさして、その美しさを堪能するつもりです。市場には単に鑑賞するための和傘が売られいますが、わたしは日常の中に美がなくてはいけないと思います。皆さんも是非和傘を雨の日に使ってみてください。別に恥ずかしくはありませんよ。まあスーツには合わないかもしれませんがカジュアルな服なら問題ないです。電車の中では迷惑にならないように何か入れ物を工夫する必要がありますが、これは将来の宿題という事で。

本格的な和傘は高価ですがネット販売もあります。中国製だと1000円台から、日本製は7000円前後からのようです。

日本の逸品◆和傘◆岐阜マルト藤沢商店

JAPANESE TRADITIONAL UMBRELLA

平野明博商店

和傘(蛇の目傘・番傘)

美馬町の和がさ作りの学習

小金井公園 の江戸東京たてもの園の中には傘屋さんの、復元した建物もあって、どうやって和傘が作られるのか展示があり、とても面白かったです。

 

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