二眼レフを使う                      2001/12/17

最初に買ったGA645Ziには特に、不満はなかったのですが(というよりその仕様範囲内では非常に良いカメラだと思います)、ひとつ困ったことがありました。これは他のカメラでも同じですが、町中でスナップを撮ると結構避けられてしまう事です。GA645Ziはレンジファインダーなのでシャッター音は非常に小さいのですが、ブローニーを巻き上げるモータオンは耳障りで結構響きます。何か良い方法はないかと思案していました。それと某雑誌で田中喜美夫氏が6x6は縦横を気にしないでよいのでスナップに非常に使いやすいということをお書きになっていたので、二眼レフの6x6に大変興味がわいてきました。とりあえず、例によってヨドバシさんでTexerを店頭でいじってみます。なかなか良いです。

これで気を良くし、もちろん試し買いでTexerに4万円も払う気はないので、中古を探してみました。(ヨドバシの人も「中古の二眼もお薦めです」といってくれた。何てお客さん思いのお店なんでしょう。ヨドバシ万歳。)そこで前に行ったことのある中野のフジヤカメラへ行ってみました。そこで最初に見つけたのがYashica Mat 124Gです。一応全部の機能をチェックして問題ありません。期待していなかった露出計も生きています、何かの足しにはなるでしょう。Texerと違って絞りやシャッター値が真上から見えるようになっています。またフィルムも120だけでなく220にも対応しています。(Texer買わなくて良かった。)これで6ヶ月の保証が付いて23,000円だったので、即決。

すぐに近くのケンタッキーへ行きフィルムを通してみます。フィルムはほとんどGA645Ziの様に通すだけで、自動で"1"にならないだけで全然違和感はありません。この際に露出計の電池は新品と交換し、中野駅周辺でテスト撮影をしました。数日後にできあがったポジは「これが23,000円の画像?」と驚き。Yashica Mat 124Gのカメラとしての観点は別ページに書いてあります(是非読んでみてください)。当初の目的通り、静かに操作できることはもちろんですが、二眼レフで何よりもすばらしい事は3点あります。

【1】まずウエストレベルファインダーというものがこんなにすばらしいものだとは思いませんでした。昨今のカメラはみんな透過型のファインダーで、人間が通常外界を見ているのと同様な感じで見えます。ですからなんとなしに普段暮らしている時のように被写体を見てしまいがちです。ところが、ウエストレベルファインダーですりガラスに写った像というのは、まるでできあがったポジフィルムを見ているようなのです。透過型だと被写体本体に気が取られて写野の端の方はどうしても見落としてしまいがちですが、すりガラスでは写野の中央も端も同等な注意が行きやすいです。ですから「完成時の」様子を想像しながら構図を決める、「絵」を作りながらシャッターを押す、っていう感じがあってこれはホンとすばらしいです。(これはデジカメのLCDと少し似通ったところがありますね。)昨今のカメラはこの機能を失ってしまったなんて、何て悲しいことでしょう(たとえば新しいMamiya645AFはこれが出来なくなってしまった)。このすりガラスを見ることがこんなにインパクトがあるとは、実体験してみないとわからないことですね。(まあ、ある程度ポジフィルムを見る習慣が付いていないとこれが理解しにくいという点もありますが・・・。)

【2】さらに正方形の視野というのは、ほんとに独自の世界があります。視野の形が物理的にはほんのちょっと変わるだけでこんなに絵として変化があるんだ、と実感できました。おもしろいです。

以上の二点は23,000円のおもちゃ?にしては私に大きな影響を与えています。絵作りに関して、非常によい刺激になっています。良い勉強が出来そうです。(露出に関しては124Gのページで述べてあります。私は露出は近似的には単に技術であると思っているので、AEだから勉強にならないとは思っていませんが、絵作りは自分の感性の部分であり本質的に重要だと思っています。)

以上の二点に関してはアメリカのHPで二眼レフに関する感想を見ていても、皆がある程度共通して感じることのようです。

【3】相手に威圧感を与えないこと。また町中のスナッップで十分確認していませんが、静かであると言うこと以前に二眼レフというのは相手に与える威圧感がかなり少ないようです。どうしてそうなのか私なりの推測を書いてみました:

1. 写真を撮っているカメラマンの顔が見やすいこと。自分を撮っている相手の顔が見えないと言うのは、受け手としては相手が何を考えているのかわかりにくいので、不安です。ウエストレベルファインダーではカメラマンの顔が見やすいので、不安感が少ないです。

2 . 機械の位置が下にある。被写体にとってはなんだか分からないカメラという機械が自分の目線の高さにあることはなんか不安です。自分の理解できないものは出来れば視野の中心からずれたところにあってほしいです。

3. これは私の意見ではありませんが、動物というのは一般的に目が2つあるので、単眼のカメラが目の前にあるよりも複眼のカメラの方が不安を起こさない、と言うものです。否定はしませんが私はあまり関係ないと思います。それよりも次の4番目の視点を提案します。

4. 筒状のものが自分の方を向いてニョキッと突き出しているのは不安がある。二眼レフの一般的な格好は、四角い箱に目が二つついている、ですが他のカメラではレンズがカメラ全体に対して突き出しているために威圧感があります。GA645Ziのようなレンジファインダーでもズームを望遠側にするとかなりニョキッと突き出します。女性でなくてもピカッとしたものが自分を向いてニョキッと出ているのは愉快ではないと思います。

まぁ、これには賛否両論あるでしょうね。

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