印刷の大きさとデータについて
01/12/17
印刷の大きさと必要なデータの解像度は最終的に何を求めているかで違ってきます。場合によってはA4で200万画素のデジカメでOKな場合もあります。風景写真のように高精細を求める場合は結局35ミリでは不満が出る場合もあります。一度良いものを見てしまうと、戻れなくなるという良くない?事態になる時もあります。ただもしも写真を長い間やろうとお考えでしたら、A3をお薦めします。自分の撮ったものを大きくしてみると、「なんだどうってことないよな」と考え直させられることは結構あります。ただA3では計算機への付加も増えますし、印刷時間もかかる、手間もかかる、紙の種類が限定されてくる等のオーバーヘッドがあります。ダタわたしがそれでもA3ノビへ出しているのは、やはり部屋に置いておいてあとでいろいろと考えさせられる材料にしているからです。A3ノビだと部屋の端からでも十分見れますから。せっかく伝統的な銀塩プリントから脱却できるのですから、半切サイズのものを気軽に自分で出力できるというメリットを甘受するのは良いことです。あと、中判の6x6をやっていると画面が正方形なのでA4に出したのでは全然大きさが足りないという事情も反映されています。
理想的には目に対する出力のdpiは400で十分です。市販のインクジェットはずっと高い解像度をうたっていますが、あれはドットの分解能で一個のドットは6色程度しか表現しないので、実質的なフルカラーに対する解像度は400ぐらいと推定します。さて問題はそれに対応した解像度がフィルムスキャンする場合にいくつになるかです。以下短辺での計算です:
□ ブローニー(短辺57ミリ)の場合:
紙 短辺 出力DPI 一辺方向の画素数
57ミリでのDPI
A4 20cm 400 3150
= 400x20cm/2.54 1404 = 3150/(57/25.4)
A3ノビ 32cm 400 5039
2245
□ 35ミリ(24x36)の場合(画像短辺は24ミリ):
紙 短辺 出力DPI 一辺方向の画素数 24ミリでのDPI
A4 20cm 400 3150
= 400x20cm/2.54 3334 = 3150/(57/25.4)
A3ノビ 32cm 400 5039 5333
実は自分で計算するのは始めてで、これまで1000dpiでプリントしたものと2000dpiでプリントしたものを、A3ノビで比較してやはり2000dpiが必要と感覚的に判断していました。ポートレートなどでは1000dpiでも良いのですが、風景や材料の質感とかなどになるとその差は結構はっきりします。この感覚的な判断は上の計算とほぼあっています。
35ミリになってくるとフィルムの粒子が問題になってきます。フィルムの粒子の大きさをどう評価するかは難しいのですが、無難に富士写真の使っているRMS粒状度はPDP-IIで10μmφを使い、これを単純に粒子=画素と仮定して計算すると2540dpiになります。つまり35ミリではA4にプリントした場合に既にフィルムの解像度が問題になってくる領域であることになります。たしかに先日FleXtightという高性能卓上スキャナーで3200dpiでスキャンしたときはフィルム粒子が見えていました。従来の銀塩プリントでこのことがあまり大問題でなかったのは、1)フィルム粒子は見慣れている、2)多くの人はキャビネ以下のサイズへのプリントが多かったこと、3)銀塩プリントに解像度自体があまりないことがなどがその理由ではないかと想像します。(あと、一般的に市販されているスキャナーは2000dpiといっても本当に光学的にその解像度があるかは疑問の点も多々あります。)
ただ一方、解像度を気にするよりも、単に物理的に大きいのでA3を選ぶというだけでも大変に意味があると思います。6x6ポジで1000dpiと2000dpiでA3ノビに出しても違いを見るにはちゃんと観察する必要があります。少し離れてみれば1000dpiでもOKです。35ミリ+PhotoCDのデータでもおそらくかなりのド迫力でA3で出ると思います。